離婚協議書

夫婦間で離婚に合意したら、まずは離婚協議を行いましょう

夫婦間で離婚をすることに関して合意をしたら、離婚届を役所に提出することで離婚が成立します。離婚を成立させる上で、それ以外の手続きは必要ないのです。

しかしながら、離婚が成立したら、夫婦間で決めなければならないことがいくつかあります。それは、慰謝料や財産・年金の分割方法、子供がいる場合には、親権や養育費、マイホームを購入している場合には住宅ローンのことなどです。

それらの処分方法に関して、夫婦で決定したら、「離婚協議書」にまとめておくのがよいでしょう。

離婚協議書とは

離婚協議書とは、離婚時や離婚後の約束事(親権と養育費、慰謝料の金額や財産分与など)を書面にしたものです。

様々な証拠として使えますので、作成したら大切に保管しておきましょう。

離婚においては約束を決めることよりも、どうやって約束を守ってもらうかの方が重要な事柄となります。当事者同士の合意文書として離婚協議書を作り、約束を守ってもらうようにしましょう。

離婚協議書で押さえるべきポイント

いざ、離婚協議書を作成しようとしても、協議しなければならないポイントが分からないという方もあるかもしれません。また、離婚してから数年後経ってから困らないように、今の段階で協議書にまとめておきたいけれど、何を考えておかなければならないか見当がつかない、という方も多いでしょう。

離婚協議書を作成する上で、押さえるべきポイントは大きく以下の6つが挙げられます。

ポイント1.親権者

夫婦間に未成年の子がいる場合には、離婚に際して、夫婦の一方を親権者と定める必要があります。

ポイント2.養育費

養育費は算定表を基準にして計算されます。また、いったん決めても、後から増額請求、減額請求が可能です。

ポイント3.面接交渉の方法

面接交渉権とは、離れて暮らす親が子供と会う権利のことを言います。法律上の規定する条文はありませんが、親として当然の権利として裁判上でも認められています。「監護親」とならなかった親と未成年の子供との面会の方法を定めます。

ポイント5.慰謝料

慰謝料とは、離婚原因を作った方が、それにより精神的に苦痛を被った方に対して、支払うものです。例えば相手方に不貞があった場合などに、慰謝料を請求することが出来ます。

ポイント6.年金分割

平成19年4月以降に離婚した場合のみ、当事者の合意又は裁判所の決定があれば、婚姻期間についての厚生年金の分割を受けることが出来ます。合意によって、婚姻期間中の厚生年金の払込保険料を最大0.5の割合で分割することができます。

もし、あなたに未成年のお子様がいない場合には、考えるべきポイントは、主に4、5、6です。
その中では財産分与が最も大きな問題となる事例が多くなります。

未成年の子供を持つご夫婦の離婚の場合、上記1〜6の中で最も大きな問題は、夫と妻のどちらが親権者となるか、という問題です。

それに付随して、離婚後の子供の養育費や今後の生活費等も重大な問題となるでしょう。

離婚協議書の作り方

自分で作成や手続きを行うこともできますが、内容によっては法的な証拠として無効となる場合があります。

手続き上の間違いや、話し合いのポイントとして不足していることがあった場合には、取り返しのつかないことになりかねません。

後々に困らないために万全な離婚協議書、そして、離婚協議の結果、自分が不利な状況に追い込まれ、将来困ることのないように専門家のアドバイスを受けながら、離婚後の生活がスムーズに進行するための離婚協議にするべきです。

離婚協議書の作成をご依頼頂く場合に必要な書類は以下のとおりです。

① ご依頼者の印鑑証明書

② 振込口座を記載する場合は、その口座情報(通帳のコピーでOK)

③ お申込者の身分証明書 (免許証のコピーなど)

④ 財産を特定できる書面のコピー

→権利証、登記簿謄本、車検証、預金通帳、保険証書等

・基本的には上記の4つですが、お話の内容により、さらに詳細な書類を頂く場合があります。

離婚協議書を作成する上での最大のポイントは、公正証書にしておくことです

夫婦間で離婚することに合意し、上記の離婚協議書作成のポイントを押さえながら離婚協議書を作成した後には、必ず離婚協議書を公正証書にしておきましょう。公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書です。公正証書は高い証明力があるうえ、養育費などの支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。

もちろん、離婚協議は夫婦間で話し合いがまとまれば成立します。その内容を文書化することが必須というわけでもありません。

しかしながら、離婚協議で決定したことが「必ず守られる」というわけではありません。慰謝料や養育費の支払を離婚協議書で定めた後、最初はきちんと支払ってくれたにもかかわらず、すぐに支払わなくなってしまった、というケースは本当に多く見られます。

そのような状況になった際に離婚協議書を作成していない場合には、証拠にとぼしく相手方に支払わせることが非常に難しいため、泣き寝入りするしかない、ということにもなりかねません。

また、離婚協議書を作成していたとはいえ、それを公正証書化していない場合には、通常、相手方に対して訴えを提起し、勝訴判決をもらった後に差押の手続きをしなければなりません。この場合には、訴訟を起こすためには、多額の費用がかかります。さらには、訴訟を行うことで時間や労力がかかるために、多大なストレスを感じてしまうことでしょう。

しかし、離婚協議書を作成した後に、それを公正証書化し、公正証書に『強制執行認諾条項』というものを盛り込めば、訴えを提起することなく、相手方の給与、その他財産に強制執行をかけて支払いを強制することが出来ます。

その為、当事務所では離婚相談をお受けし、協議書を作成することになった場合には、必ず離婚協議書の公正証書化を進めています。

離婚問題失敗事例 ~協議書を公正証書化していればよかった~

当時、Aさんは夫と別居状態にあり、幼いお子さんがいらっしゃいました。双方ともすでに離婚には合意しており、協議もスムーズに進行しました。

離婚協議を行い、協議書を作成するときに、Aさんは「協議書を公正証書化しておいたほうが良い」というアドバイスを友人から受けていましたが、手間と費用が必要になること、そして当時のAさんは、

●夫とお子さんとの関係が非常に良好であること。

●夫は養育費をお子さんの為に支払ってくれると信じていること。

●夫の両親が公正証書作成に猛烈に反対していること。

以上を理由に、公正証書ではなく、簡易な形での離婚協議書を作成し、協議書を公正証書化していませんでした。これが、大きな間違いだったのです。

初めは順調で問題のなかった支払いですが、それから2年後、養育費の支払がストップしてしまいました。

養育費の支払いが滞り、生活に支障をきたすことになったAさんは、専門家に相談しましたが、

「Aさんが作成された協議書は公正証書ではないので、すぐに強制執行はできません。離婚協議書を基に訴訟等を提起する必要があるでしょう。まずは、離婚協議書を見せてもらえますか。」

といわれ、協議書を見せたところ、専門家は、その協議書に押印がないことに気付きました。離婚成立から2年以上が経っているので、今から夫に対して署名押印してもらうことは出来ず、公正証書どころか離婚協議書も成立していなかったのです。

せめて離婚協議書があれば、契約の証拠として、それを訴訟等で提出し、養育費の支払いを強制することができたことでしょう。しかしながら、Aさんが作成したものは離婚協議書としては成立しておらず、証拠として提出することも難しくなってしまったのです。

Aさんの元夫は、既に再婚しており、新しいお子さんもいらっしゃいました。

Aさんは専門家のアドバイスで家庭裁判所に調停の申立てを行いましたが、離婚協議書(公正証書)がなかったこと、そして、Aさんが既に新たなお子さんの扶養義務も負っていることが考慮され、離婚する前に決めた養育費よりも大幅に減額されることになってしまいました。

訴訟に際して依頼した弁護士費用の負担も大きく、多大な精神的ストレスも被ったにもかかわらず、大きな成果が得られなかったのです。その後、Aさんの生活は非常に苦しくなってしまったことは、言うまでもありません。

離婚協議書を公正証書化していれば、強制執行の手続きが出来、非常にスムーズに養育費の支払いを再開することが出来たのに。

これは、離婚問題の1ケースでしかありませんが、類似したケースはとても多く見られます。それは、離婚協議書を公正証書にしていなかったことが主な原因で起こるものです。その為に、当事務所では離婚協議書を作成する際には公正証書にすることを必ずお勧めしているのです。

当事務所は、これまで離婚に関する様々な相談を受けてまいりしました。その際、一番に心掛けることは「依頼者様が、未来を見通せる離婚協議を行うサポートをする」ということです。

私共は、これまで「離婚協議を確実に行わなかったために、現在も生活に支障をきたしている」という方のご相談を多く頂いてきました。離婚は結婚の何十倍も、勇気と力が必要な手続きです。
だからこそ私共は離婚を検討なさっているご本人だけでなく、その方のご支援者である、ご家族、ご親族の皆様にも、安心して幸せな未来を迎えて頂けるよう、お一人お一人に寄り添ったサポートを心がけております。
共に新しい未来へ。一歩踏み出すお手伝いができればと思っております。

公正証書にするために必要なもの

離婚協議書を公正証書にするために必要なものは以下の通りです。

① お申込者の身分証明書 (免許証「のコピーなど」)

② 財産を特定できる書面のコピー

→権利証(登記簿謄本)、車検証、預金通帳、保険証書

離婚相談の専門家

離婚の法的な手続きができる国家資格者は、日本国内では基本的に弁護士、司法書士、行政書士です。
最近では「離婚カウンセラー」と呼ばれる認定資格保持者が心理面でのケアを担当することも多くなりました。

離婚が決まると、離婚協議書の作成や財産(不動産)を分けるときの登記、慰謝料や養育費の請求などの手続きが多数発生します。また、夫婦間で離婚をすることに同意できなかった場合には、調停(第三者が間に入ることで紛争の解決を目指します)や裁判など訴訟を起こすことになります。それら一つ一つの手続きや訴訟を担当できる資格者が異なるために、煩わしさが伴うこともあります。

一般的に言うと行政書士は離婚協議書の作成をすることができます。
司法書士は、行政書士と同様に離婚協議書の作成し、加えて財産分与登記や調停手続き、裁判所類の作成、慰謝料や養育費の請求など、基本的には訴訟以外の部分を担当することになります。

弁護士は、離婚に関する業務全般を執り行うことが出来ます。まとめると以下の通リになります。

  司法書士 離婚カウンセラー 弁護士 行政書士
離婚協議書 ×
公正証書化 ×
財産分与登記 × ×
離婚調停手続 × ×
裁判所提出書類 × ×
慰謝料請求
養育費請求
×
訴訟 × × × ×
心のケア
基本費用 普通 安い 高い 安い

離婚は年間25.1万件程度(平成21年)発生していますが、そのうち70~80%は夫婦間で合意した後に離婚する「協議離婚」であり、離婚の解決方法の大半を占めています。一方、夫婦間で同意することなく調停や裁判に発展してしまう割合は全体の20%です。

離婚をお考えの方が専門家を選ぶ際のポイントとして「依頼者様の離婚に関する悩みや手続きをどこまでサポートしてほしいか」ということが挙げられます。 例えば、離婚協議書を作成した後、財産分与登記がほぼ必ず発生することになるために、協議書作成を行政書士に、財産分与登記は司法書士に依頼するということは、その分、労力や時間がかかるでしょう。

また、慰謝料や養育費用の請求を行う場合も、同様です。

もう一つ専門家を選ぶ際のポイントは、専門家に支払う報酬(費用)でしょう。もちろん、訴訟にまで発展してしまった場合には、弁護士に依頼することをお勧めいたしますが、夫婦間で離婚に同意しており、協議離婚で解決することが出来る見込みがある場合には、まずは協議で離婚する方法を考えるのが、リーズナブルといえます。もちろん、当事務所にご相談いただいた後に訴訟に発展した場合には、お付合いのある多くの弁護士の中からご依頼人様のご希望を伺いながら、そのケースに応じて弁護士を紹介させていただきます。安心してご相談下さい。


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